ここは、地球に数箇所存在する、エネルゴンパブ。
1日の仕事を終えたTFや、地球に立ち寄ったTFたちの、
息抜きの場としていつもにぎわっている。
その一角で、
ギルトールのパーツをジャンキオンに売った金で(想像以上に高く売れたようだ)エネルゴン酒を楽しむGEN-Mとバンザイトロンの姿があった。
と、いきなりパブのドアが勢いよく開き、
一人のTFが入って来るやいなや、叫んだ。
「バンザイトロン!ここにいるのはわかっているぞ!」
パブ内にいたTF全員がいっせいに入り口に視線を向ける。
そこにいたのは、全身が赤と銀のTFだ。
「だれだ、こんなところで騒ぐ馬鹿は!?」
「おいまて、見たことあるぞ、あいつ。」
「あ!あいつって、スタンジョードのチャンプ、ストリートヒートじゃねぇか!?」
「まさか、チャンプがこんな場末に来るはずがないだろ…」
パブ内が一気にざわめきだした。
そんなざわめきと、多くの好奇の目をものともせず、
赤と銀のTFはパブの一角に捜し求めていた者の姿を見つけ、
一直線にそこへと向かった。
「やれやれ、またお主か、しつこいな…」
バンザイトロンは近寄ってくる赤と銀のTFに見向きもせず、
エネルゴン酒の入ったグラスを空にした。
「お前がきちんと勝負をするまで、俺はお前を追い続けるぞ、バンザイトロン!」
「スタンジョードのチャンプが、なぜ拙者ごときをそこまで目の敵に追うのか理解が出来ぬよ、ストリートヒート殿?」
バンザイトロンにストリートヒートと呼ばれた赤と銀のTFは、
そう言われると、キッとGEN-Mの方を見た。
GEN-Mはそんな事に関心がないようにエネルゴン酒をかっ喰らっている。
「理由などどうでもいい、尋常に勝負を受けろ!バンザイトロン!」
ストリートヒートがテーブルを乱暴に叩くと、スチロール製のテーブルがぐにゃり、と曲がった。
「ふぅ、何度でも言うが、拙者にはお主と戦う理由が無…」
「そっちになくてもこっちにはあるんだよ!」
バンザイトロンの言葉をさえぎるようにそう言いながら、ストリートヒートの右手がバンザイトロンに向けて振り下ろされた。
その拳を…GEN−Mが受け止めた。
「栄光のチャンプがこんなところで拳をふるっちゃぁいけねぇなぁ?」
「GEN−M…様…」
ストリートヒートはGEN−Mにたしなめられ、急にしおらしくなる。
「いたいた!ストリートヒート!こんなところにいたか!」
パブの入り口から、また威勢のいい声が聞こえてきた。
青い、小柄(地球人と同じくらいの大きさしかない)TFがそこにいた。
「また勝手に行動して!タイトルマッチを控えてるんだから自重してくれ!」
青いTFは、背中のローターを回しながらストリートヒートの周りを飛び回り、
ストリートヒートにクドクドと説教をしている。
「GEN−Mさん、バンザイさん、いつもいつもすいませんねぇ、コイツには私の方からよく言って聞かせるんで、勘弁してやってください。」
「いつも難儀だねぇ、フリップトップ。」
GEN−Mがストリートヒートの拳を離しながらそう言う。
「まぁ、コレが私の仕事なんで。ほら、いくぞ、ストリートヒート!」
GEN−Mに会釈をしながら、フリップトップはストリートヒートの首根っこを捕まえ、
パブの外へと連れ出す。
「バンザイトロン!次合った時は絶対勝負をつけさせてもらうからな!」
その声は、最後までパブ内に届かなかった。
「…やれやれ、相変わらず騒がしいこった。さて、バンザイトロン。店を変えるぞ。」
いまやパブ中のTFの好奇の視線を向けられているGEN−Mとバンザイトロンは、
そそくさとこのパブを後にした。
格闘家 ストリートヒート
地球のボクシングに似たセイバートロンの格闘技・スタンジョードの現チャンプ。
抜群のセンスと身体能力で、”500万サイクルに一人の逸材”とさえ言われている。
その性格は良くも悪くも自分に正直。
「勝つ」事に執念を持っており、何より「負ける」事を極端に嫌っている。
勝負事になると周りが見えなくなるきらいがある。
「おっとごめんよ、サインはしない主義なんだ。」
シビリアンモード。
チャンプとなり、顔が売れてしまったため、
街を歩く時はこのモードとなる。
ビークルモードはホットロッドカー。
以前、地球に来た時に気に入ってスキャンし、
以後どこでもこのモードにトランスフォームする。
まだスタンジョードをはじめる無名時代、
街角の小さな格闘大会で、共に決勝へと進んだストリートヒートとバンザイトロン。
決勝戦直前でバンザイトロンが姿をくらました(その街で悪事を働いたのがバレたためなのだが)ため、ストリートヒートの優勝となったが、
勝利せず得たその栄光に納得がいかず、それ以降バンザイトロンを見かけては勝負を挑むようになった。
その後、バンザイトロンはGEN−Mの弟子となった。
ストリートヒートはその前に格闘家として憧れていたGEN−Mに弟子入りを志願し、
断られていたためショックを受け、
以後は執念的にバンザイトロンを付けねらうようになってしまった。
マネージャー フリップトップ
ストリートヒートの敏腕マネージャー。
暴走しがちなストリートヒートをたしなめ、うまく管理しているが、
気が気でない毎日を送っている。
物事をやや事務的に考えてしまうキライがあり、
そのことでストリートヒートの機嫌を損ねる事もしばしばである。
「もういい加減にしてくれ!エネルゴン炉が融解しそうだ!」
フリップトップのビークルモードはヘリコプター。
ストリートヒートにつきあって地球に来た際、半分無理やりスキャンさせられた姿だが、
今では本人も気に入っているようだ。
なお、地球人の大きさほどしかないフリップトップだが、
彼はマイクロンではなく、マイクロマスターとよばれる種族である。
ストリートヒートとフリップトップはリンクアップすることで、通常の2倍のスペックを得るが、
ドーピングを問われると困るので、よほどの緊急事態にならない限り、
リンクアップすることはない。
さて、今回製作しましたのは、ヘケヘケホットロッドを素体とした、
ストリートヒートとフリップトップ。
元ネタは、ズバリ、ゴーボッツなのです(マシンロボでいうホットロッドロボとカマンロボ)。
リベンジダートボスのリカラーでゴーボッツスプーンカラーが出る、
つーのを聞いて、「ゴーボッツも着々と増えてるなぁ」と思い、
そこから発展したネタだったりします。
また、ヘケヘケホットロッドの背中パーツを腕につけるとグローブっぽくなるなぁ、って事で、
ボクサー→格闘家→バンザイのライバル
と発想が発展、今回のような設定となりました。
ちなみにゴーボッツにおけるストリートヒートやフリップトップの性格や役職は全然知りません(汗。
ホットロッドとの比較。
フリップトップは踵を追加して、自律できるようにしてます。
踵があってもビークルモードにちゃんと変形可能だフリップトップ。
…なんでジョルトに踵ないんだタカトミさんよぉ…
fufufu…着実にゴーボッツ勢は勢力を強めてるんじゃよ…
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