惑星アニマトロス。
今ここには、サイバトロンが誇る名高い技術者たちが集結していた。
パーセプター。ファストガンナー。ホイルジャック。そして、ラチェット。
彼らの技術を持ってしても、スカージのボディの破損は完璧には修復できず、
特に、パーソナルコンポーネントの収められているブラックボックスにもダメージが及んでいるのが致命的だった。
「・・・仕方がない、ホイルジャック?」
ラチェットがホイルジャックをみる。
「うむ、我輩のところのトランステクターを使おう。
だが、パーソナルコンポーネントの移植には、君の力が必要だ、パーセプター。」
ホイルジャックがパーセプターを見ると、パーセプターは強くうなずいた。
「よし、そうと決まれば一刻も早くスカージを地球へ運ぼう。
ファストガンナー、ゲートの用意を。」
兄の言葉を聞くよりも早く、ファストガンナーはゲートの起動スイッチを操作していた。
地球。
TFの来訪から20年余り経ったこの星ではTFたちのもたらしたオーバーテクノロジーにより、
急速な技術革新が進んでいた。
そんな中でも、北米に設けられたホイルジャックのラボでは、
人類とTFの、“より進んだ関係”が研究されていた。
まずは人類が「トランスフォーム」出来るよう、
可変式強化外骨格・エクセルスーツが開発された。
これを装着することにより、人類はトランスフォームが可能となった。
だが、変形といっても、
人間が中に入っている以上、寝そべるだけ、等な変形パターンしかとれず、
さらには深海や外宇宙といった超悪環境での、人体への影響の強さも考慮され、
エクセルスーツをさらに強化するトランステクターも開発された。
このトランステクターは、エクセルスーツを着た人間が乗り込むビークルとなり、
また、人型にトランスフォーム、エクセルスーツを着た人間がその一部…頭部や胸部といった、人として“重要”な部分…に合体することで、
TFたちと遜色ない能力を手に入れれる、というものなのである。
現在、ホイルジャックのラボで開発中のトランステクターは5体。
先のGブラックホール戦争の際に活躍した、
5つの星のリーダーたちのビークル・ビーストモードを参考に作られており、
そのそれぞれに、地球人の少年少女が被験者として参加している。
その中の1体、スカージを模して作られたトランステクターに、
スカージのパーソネルコンポーネントを移植する、というのが、
当面のスカージを救う唯一の手段なのである。
「しかし…」
ラチェットは困惑する。
「トランステクターは、単独での変形機構を持たない。
つまりスカージはずっとビーストモードのままになる。
本人はこれをよしとするのか…?」
「戦闘時以外はほとんどをロボモードですごしていた御仁だからな、
なにかポリシーがあったんだろうが…」
ファストガンナーが続く。
「しかし背に腹は代えられんて。」
ホイルジャックが移植の準備を進めながらそう言う。
「私が合体すれば、ロボモードになれるんでしょう?」
不意に足元から声がして、ホイルジャックは視線を落とした。
そこにいたのは、赤い髪を後ろで二つに束ねた、地球人の少女だ。
彼女の名はフレア。
スカージ型トランステクターの被験者だ。
「馬鹿を言っちゃいかんよ、フレア。
スカージのパーソネルコンポーネントを移植する以上、
君の愛機は別のものを用意しないと。」
「どうして?」
「いいかい、フレア?君がトランステクターと合体するということは、
トランステクターの各センサー類と精神をリンクするということだ。
しかしそれは同時に、スカージの精神ともリンクする、ということになるんだ。
それがどのような事態を発生させるかわからないからね、
よって、しばらく君のトランステクターとの合体実験は中止だ。」
ラチェットはフレアを台の上の安全な場所へ運びながら説明した。
フレアは何か言いたそうな表情をしたが、
早速始まったパーソナルコンポーネントの移植手術に、
その意見を飲み込んだ。
移植手術は無事に終了し、スカージもなんとか新たなボディに慣れた、その夜。
眠るスカージのセンサーがピリピリとざわめく。
「この感じは…あの時と同じだ!」
目を見開き、スカージはその巨体を目いっぱいよじる。
その刹那、先ほどまでスカージのボディがあった場所に、巨大な斧が突き刺さった。
「思い出したァ…お前だな、オレ体を砕いてくれたなァ?」
スカージの視線の先にいたのは…青いスカージだ!
「何者かァしらないが、今度は返り討ちにしてやるぜェ?」
スカージは、青い自分の姿をした何者かにぶつかっていく。
…しかし、馴染んでないボディ、以前よりも重くなっており、余計に思うように動けず、
苦戦を強いられる。
「スカージ伯父さん!!」
フレアの声が響いた。
エクセルスーツを身にまとい、「フレイヤ」となったフレアが駆けつけてきたのだ。
「よゥ、こんな夜遅くに起きててママにしかられないか、“小”嬢ちゃん?」
青いスカージの猛攻に耐えながら、スカージは軽口を叩いた。
「もう、“小”はやめてっていってるジャン!」
フレイヤはそういいながら、青スカージに飛び掛る、が、あっさりと跳ね返された。
「さがってろィ、ケガァするぞォ!」
「ううん、私も一緒に戦う!パパやママみたいに、スカージ伯父さんと一緒に戦う!
そのために、この計画の被験者になったんだもん!!」
「いいやァ、ダメだァ。コイツの強さはハンパじゃねェ。」
「だから、“一緒に”戦うの!!」
そういうや否や、フレイヤはジャンプする。
「トランスフォーム!!」
フレイヤのボディが見る見る変形、ロボの頭部と胸部を形成する。
と、同時に、スカージのボディも、彼の意思に関係なく変形を始めた。
「やめるんだァ、何が起こるかわからない、そういわれたろォ!?」
「ううん、やめないよ!それに、そのトランステクターは私の命令に逆らえないの!」
「チ…肝心な機能、カットし忘れてやがんのかあのボンクラどもァ!」
スカージの文句が言い終わらないうちにスカージのボディは胸部のないロボモードに変形。
「ブレストオン!」
そこに、フレイヤが合体した。
「フレイムスカージ、参上!!」
新たに誕生したTFは、決めポーズをとった。
「…別に決めポーズはいらないんじゃァないかァ?」
「だって、合体ロボは決めポーズが肝心だ、って叔父さんが…」
「アイツ…それはともかく、なんともないかァ?気分が悪いとか?」
「ううん、大丈夫。それよりも、来るよ!」
青いスカージ渾身の一撃が、フレイムスカージを襲う。
だが、その一撃はむなしく床を破壊しただけだ。
「なにごとだ!!」
ラボ内にいたTFたちが騒ぎを聞きつけ、入ってくる。
分が悪いと察した青いスカージは、突如空中に現れた黒い渦…ブラックホールに似ている?…に飛び込み、姿を消した。
「あぁん、逃げちゃった。」
フレイムスカージは、逃すまいと伸ばした手をむなしく空中で泳がした。
「…フレア?合体は禁止といったはずだが…?」
事態を飲み込めてないラチェットが、確実に答えが返ってくるであろう疑問だけを口にした。
フレイムスカージは、軽く首をすぼめた。
騎竜 スカージ
地球人とTFとで開発した、ドラゴン型のトランステクターに、
スカージのパーソネルコンポーネントが移植された。
ロボモードへ変形できないことへの苛立ちを、
自分を襲った「何者か」にぶつけたくてうずうずしている。
性格は以前と変わらないが、フレアが生まれたあたりから、
「丸くなった」と言われるようになった。
「俺に乗るには資格がいるんだァ、お前じゃァ役不足だ。」
本来、トランステクターは単独でのロボットモードへの変形機構を持たないが、
スカージは意地と執念で“ロボモード”を開発した。
それがこの竜人形態である。
ただ、やはり無理が多いため、この形態での活動時間はわずかしか取れない。
騎士 フレイヤ
地球人の少女・フレアがエクセルスーツをまとった姿。
自身の赤髪を少々気にしており、
「ママみたいなきれいな黒髪がよかったなぁ、私。」が口癖。
少々勝気だが、親譲りの思いやりと行動力を持つ。
彼女にとってスカージは「伯父」であり居なくてはならないパートナーである。
「パパやママに負けないくらい活躍しちゃうんだから!」
火炎騎士 フレイムスカージ
スカージにフレイヤがブレストオンした姿。
合体することでその能力は格段に上昇している。
通常時はフレイヤの意思がからだを支配しているが、
未熟なフレイヤでは対処できない事態には、
スカージがからだの支配権を得る。
「いィくぞ、小嬢ちゃん」「えぇ、スカージ伯父さん!」
メイン武装はフレイムソード。
得物の小ささに、スカージは少々物足りなく感じている。
必殺武器はフレイムキャノン。
かつてのスカージのデスフレイムと同等の熱量を持つ。
トランステクターの開発理念に則って、
スカージにフレイヤが搭乗可能である。
初合体では何事もなく戦闘を終えたフレイムスカージだったが、
果たして、この先も何事もなく事が進むのであろうか…?
そして、
このエンブレムを持つ、あの青いスカージの正体は…?
ヘイヘイ!ヘイヘイ!
いやな梅雨も明け、ようやく塗装できたぜ、ってことであらたなリペフォの完成だ!
今回はいつも以上に妄想パゥワー全開っっ!!
というのも、本当ならコイツがNEXTAGEの1作目になるはずだったから!
基本設定(?)を長々と書いちゃったよ!!
…妙にテンションあがっちゃってますが、今回は見てのとおり、
ダイガンダーをリペフォってます。
元々、「アクションダイガンダー」を作ろうと、
ジャンクのダイガンを入手して、右腕の回転軸仕込んだところでヘタれ、
そのまま放置していたんですが、
今回、左腕の回転軸、股間の前後方向の回転軸、そして指の可動追加加工を施し、
新たな姿となって復活を遂げた、ちゅーわけです。
リューグ→フレイヤ化にあたって、胸部のリデコをしています。
額の竜は、ジャンクゆえになかったのを、
ベクタープライムの機首のクリアパーツをはめることで解決、
フレイヤ時に前髪、フレイムスカージ時にバイザー、となるようにしてみました。
フレイヤの瞳は、デジタル合成で入れるように、素では何も描いていません。
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